第2章 生命保険募集時と募集後の実務

【2023年版】60分完結「生命保険一般課程試験」直前対策

第2章では生命保険契約時の実務について学習します。

ここは保険に限らず商取引として極めて常識的な内容が出題されるので、基本的な考え方を押さえて通読すれば、一度で十分理解できるようになります。

保険は形のない、目に見えない商品であるからこそ、お客様情報をしっかり収集しニーズに合った保険を正しい説明および情報提供を通して、お客様に誤解や不備のないお手続きを実践し、販売ルールに基づいた営業活動を行うことが大切です。

まずは最も肝心な生命保険募集時における契約成立のための条件を見ていきます。

保険契約成立のための3つの条件

保険契約の成立には次の3つが揃うことが必要です。

それは申込み(申込書)保険料の領収、そして告知・診査です。

それぞれの具体的な注意点を順に見ていきましょう。

A.申込み(申込書)

最初は申込書についてです。
申込書は、契約内容を十分に確かめ、お客様の意向を確実に確認した上で契約者または被保険者自身が記入の上、署名・捺印していただきます。
特に契約者と被保険者が異なる契約の場合は、必ず被保険者の同意を得ることが必要です。
これは、ごく簡単に言うと保険金殺人のような不正請求を防止するためです。

[ふきだし set=”TOMO”]

被保険者というのは、死亡保障や入院保障の保険の対象となる人ですよ。大丈夫かな?

[/ふきだし]

また申込書は、大切な書類ですから間違いがないのはもちろん、契約者、被保険者、保険金受取人の姓名及契約者、被保険者の生年月日は必ず戸籍等の公的書類記載のものを記入してもらうこと。
※架空名義が許されれば犯罪に結びつくこともあるため

職業は具体的に記入していただき、契約者が未成年の場合には、親権者または後見人の同意が必要です。
ただし、未成年でも結婚または就業していれば親権者または後見人の同意は不要です。

全部の記入が済んだら契約者、被保険者にもう一度記入内容を確認していただくことが重要です。

[ふきだし set=”SHU”]

”最後にもう一度確認する”って当然な話だと思うのですが、正誤問題で結構は頻度で試験で聞かれます。最後の確認は必要です!

[/ふきだし]

B.保険料の領収

次に保険料の領収です。
通常は申込書の記入と同時に第一回保険料の領収を行います。
領収書は申込書1枚につき1枚発行し、書き損じた時や汚したときは新しいものを発行し、古いものは保険会社に返還すること。
訂正や加筆したものは一切無効です。

保険料が5万円以上の時は200円の収入印紙を貼って取扱者の割り印を押すこと。

契約が成立しなかった場合には、契約者にすでに渡している領収書は、第一回保険料と引き替えに必ず回収すること。

なお、保険料を計算するための年齢には、保険業界特有の保険年齢という考え方があります。
これは契約日が満年齢の誕生日から半年以上過ぎていれば切り上げて、満年齢に1歳加算した年齢を契約年齢とするという考え方ですが、契約に際しては満年齢を使う保険会社もあります。

ここは「へーそうなんだぁ」くらいの知識で十分です。

C.告知・診査

最後は告知・診査についてです。
告知や診査がなぜ必要かと言えば、生命保険は加入者の公平な危険分担のため健康状態や職業などによる危険度が高い人には、特別な条件を付けたり、契約をお断りしたりして、契約者相互の公平性を保っています。

つまりリスクが高い人と低い人が同じ保険料や保証内容というのはおかしいですよね、と言う話です。

そのため保険会社は、申込みを受ける際には、その危険度を判断する質問に被保険者(または契約者)からありのまま正確に答えていただくように決めています。

これを告知義務といいます。

告知は以前は被保険者(または契約者)自らが自発的に告知しなくてはなりませんでしたが、現在では保険会社の質問のみに答えれば良いという規定に変更されました。
※つまり自身に不利なことは聞かれなければ答えなくていいということ。

次に審査ですが、これは医師等による被保険者の健康調査を指しますが、これには以下の4種類があって、契約内容(保険種類・保険金額など)によって種類が異なります。

1)社医や嘱託医といった保険会社指定医師による所定の健康診断書によるもの
2) 被保険者の勤務先などで実施した健康診断による証明書で行うもの。
3) 被保険者が病院などで実施した人間ドック等の検査結果によるもの。
4) 生命保険面接士(保険会社の有資格者の社員)による面談によるもの。

尚、審査扱いの契約でも、審査を行わないに契約でも、被保険者(または契約者)が告知義務の対象者であることは変わりません。

契約の承諾と責任開始

これら3つの条件が揃ったら自動的に契約が成立するわけではありません。
契約が成立するには3つの条件が揃った申込みを保険会社に認めてもらう必要があります。

3つの条件が揃った申込みを保険会社が認めることを承諾といい、承諾に伴い契約上の責任を開始する時期を責任開始期と言います。

責任開始期(A)申込み、(B)第1回保険料の領収、(C)告知・診査の3つが全てそろった時からです。

ケース1

1月1日に申込み(A)、告知・診査(C)と同時に、第1回保険料(B)を払い込み、その後1月3日に保険会社が承諾した場合は、払い込みのあった日にさかのぼって責任を開始します。

A=B=C=1/1。その後1/3に承諾されたのでABCの3つがそろった1/1にさかのぼって責任開始。

ケース2

1月1日に申込み(A)と告知・診査(C)、その後1月5日に第一回保険料(B)を払い込み、その後保険会社が承諾した場合は、払い込みのあった日から責任を開始します。
A=C=1/1、B=1/5、その後承諾なのでABCの3つがそろった1/5から責任開始。

ケース3

1月1日に申込み(A)と告知・診査(C)、1月3日に保険会社が承諾し、その後1月7日に第一回保険料(B)が払い込まれた場合は、保険料払い込み後に責任を開始します。
A=C=1月1日、承諾=1/3、B=1/7なのでABCのそろった1/7から責任開始。

[ふきだし set=”SHU”]

3つの条件と承諾の関係はわかりましたか?
ここはテキストの『契約の承諾と責任開始』のページの図表を、一度確認しておくことをおすすめします。

[/ふきだし]

クーリングオフ(契約撤回請求権)

生命保険は長期に渡る契約のため、契約の申込みをした後でも、次の①か②のいずれか遅い日を含めて消印日が8日以内であれば、文章(郵送)で申込みを撤回することができます。(※文章というのがポイントです。

①『契約申込みの撤回などについての事項を記載した書面』を交付された日
②『申込み』をした日

この制度をクーリングオフといい、既払込金額を返金します。

【重要】ただし、医師による診査を受けた後は、加入の意思が明確であるとみなされるため、契約申込みの撤回の取り扱いはできません。

この章は細かな数字が出てきましたが、契約成立の3条件と責任開始はこの3条件がコンプリートされてからということを覚えておけば大丈夫です。

あとはクーリングオフについて “いつ”と”いつ”から8日以内に郵送なのか覚えておけば大丈夫です。

それでは要点がまとまったら次の学習に進みましょう。

コラム:仕事での成功のために大切な友人をなくす覚悟を持てるか?

卒業以来、何年も音信不通だったあなたが保険のセールスになって電話をしてくれば、お友だちにとっては少なからず迷惑な話です。
保険の仕事を始めたんだと話したとたんに友人との距離ができて、以後連絡が取れなくなる人も出てきます。
中にはあなたより先にご丁寧に同級生に連絡をして「○○が保険のセールスになったって電話してくるぞ」と宣伝してくれる人もいます。

また、迷惑とは思われなくても、これだけ保険のセールスの溢れている時代です。
あなた以外の親しい友人や親族がすでに保険のセールスをやっているから断られることも多いでしょう。
あてにしていた大親友に断られるケースもあるのです。

同じことはあなたの親戚や奥様の親戚でも起こります。
日頃から親しくしている親戚なら連絡や訪問のハードルは低いでしょう。
保険営業として成功したいあなたは、結婚式以来会ったこともない奥様の親戚にも連絡します。

その成果は、おそらくバラ色ではないことはあなたにも想像ができるでしょう。

そんな風に断られ続けてもモチベーションを維持できた人だけが成功できる世界、それが保険の仕事なのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました